「生きているだけでいいんだよ」――その言葉が、今の私を支えている

人とのつながり

誰かに裏切られたとき。
信じていた人が、突然、何の言葉もなくいなくなったとき。
自分の存在そのものが揺らいでしまうような、そんな感覚に陥ったことはありませんか?

この世界のどこにも、自分の居場所がないような日。
声にならない気持ちを抱えて、ただ静かに息をするしかない日。

そんなとき、たった一言の言葉が、私を支えてくれました。
「生きているだけでいいんだよ」――

大げさでも特別でもないその言葉が、なぜこんなにも心に残ったのか。
今日は、私自身の体験を通して、“言葉のつながり”についてお話ししたいと思います。

信じていた人が、突然いなくなった日

ある時、何も言わずに離れていったのは、信頼していた仲間でした。
毎日顔を合わせ、会えない時は、何時間も電話ではなし、過去も現在も未来も全てを共有し信頼していた人でした。
理由も、説明もなかく、ただ静かに、私の前から消えてしまったのです。

言葉をかけてもらえないまま取り残されるというのは、
まるで自分の存在が最初からなかったかのように思えてしまうものです。

その人との思い出や共有していた時間が、ぽっかりと空白になり、
私は自分の存在そのものが否定されたような気がしていました。

声を出す元気もなく、笑い方も忘れ、食べることもできなくなり
日常の景色から色が抜けていった日々、
まるで自分の輪郭が、少しずつ消えていくようでした。

「生きているだけでいいんだよ」の一言が届いたとき

そんなある日。
私のことを日頃から、密かに支えてくれていた人が、自信をなくし、生きる気力もなくし、変わり果ててしまっている私に言いました。

「生きているだけでいいんだよ。」

なぐさめでも、励ましでもなく、ただ静かで温かな声で

その言葉はまっすぐに、何もない私の中に届いたのです。

張り詰めていた糸が、ひとつふわりと緩んだ気がした。
体温が戻ってきたような、そんな感覚。

理由なんてなくても、「いていい」と言ってもらえることが、
どれほど大きな支えになるかを、そのとき私は知りました。

その人は、私の背景や痛みのすべてを知っていたわけではないけれど
それでも、「ただいること」そのものに意味があるのだと、
そっと差し出された言葉に、私は涙が出そうになりました。

“がんばる自分”でいなきゃ、と思い込んでいた

私はずっと、「意味のある自分」でいようとしていました。

誰かに必要とされたい。誰かの役に立ちたい。
そうしなければ、生きることに価値はないと、どこかで信じていたのですね。

だから、信頼していた誰かが離れていったとき、
「役に立てなかった自分」に価値はあるのか――と物凄く自分を責めたのです。

きっと、自分の不甲斐なさや未熟さを責めることで、
何か意味を取り戻したかったのだと思います。

でも、

「生きているだけでいいんだよ」

という言葉は

そんな“条件つきの価値”を、やさしく手放していいと教えてくれたのです。

欠けていても、揺れていても、壊れかけていても、“ただいる”ことには、確かな意味があるのだと
その感覚が、胸の奥にそっと灯ったのです。

あの一言が、いまの私を支えている

あの言葉をくれた人は、あの日の私にとって特別な存在です。
特別だからではなく、ただそこにいて、言葉をくれたという“在り方”が、心を照らしてくれました。

何かを解決してくれたわけではないけれど
でも、その一言は、痛みのただなかにいた私を、そっと地面に立たせてくれるものでした。

私自身、今でもつまずくことはたくさんあります。
誰かとすれ違い、自分を責めそうになる日もあります。

そんなとき、心の中でそっと思い出すのは、あの言葉です。

「生きているだけでいいんだよ。」

今もこの言葉が、私を支えてくれているのです。

それは、外から見れば何の変哲もシンプルな一文かもしれません。
でも、私の中では今も変わらず、静かに息をしているのです。

そして、誰かのそばにいられる人でありたい

今度は、私が誰かにその言葉を渡せる番かもしれません。

「どうしていいかわからない」
「このまま消えてしまいたい」

――そんな思いのなかにいる誰かがいたとしたら

私は特別なことはできないけれど、ただ静かにそばにいて、
「いていいよ」と伝える人でありたいと思うのです。

言葉は時に、小さな光になります。
それがどこかで息をして、誰かの時間をそっと照らすと信じています。

まとめ

あの一言が、今も私を育てている

今回私が皆さんにお伝えしたかったことを振り返ってみます。

  • 信頼が裏切られたとき、自分の価値が見えなくなったとき
    「生きているだけでいいんだよ」という一言が、私を救ってくれたこと
  • その言葉は今も、私を静かに支えてくれていること
  • そして今、私はその言葉を誰かに返していけたらと思っているということ

について綴ってみました。

たった一言が、誰かの明日を変えることがあるものです。

それを知っているからこそ、私は今日も、この言葉とともに、生きているのです。

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