― 映画『ホリディ・イン・ザ・ワイルド』を観て

6月21日、夏至。
一年でもっとも昼が長いこの日、めずらしく心に静かな時間を持てました。
窓から入るやわらかな光に包まれながら、
何か心に染み入るものが欲しくなって、ふとNetflixを開いてみたのです。
私にとって、映画や本、音楽の歌詞は、
どれもその時々の自分に必要なメッセージを運んできてくれる存在です。
偶然のようでいて、実はちゃんとタイミングを見てくれていたような、そんな“出会い”を感じることがあります。
その日私の目に留まったのは、アフリカを舞台にした一本の映画――『ホリディ・イン・ザ・ワイルド』。
なんとなく再生したその物語は、静かで優しく、でも確かな力で私の心をゆさぶりました。
今回は、【旅先で出会ったのは、本当の自分だった― 映画『ホリディ・イン・ザ・ワイルド』を観て】
というタイトルで、思い感じたことを綴っていきたいと思います。
良かったら、参考にしてみくださいね
映画のあらすじと印象(※軽いネタバレを含みます)

物語の主人公は、ニューヨークで暮らすケイト。
元獣医であり、いまは主婦として家庭を支える彼女は、子どもが大学へ旅立ったことで、長年の夫婦ふたりの生活が始まる――はずでした。
ところがその日、夫から「もう君を愛していない」と突然の別れを告げられます。
ぽっかりと空いた時間と心の隙間を埋めるように、
彼女は予定していた“ふたりの旅行”を、ひとりで敢行します。
行き先は、アフリカ。サファリと大地が広がる、まったく未知の土地。
現地では、傷ついたゾウの子どもと出会い、ケイトの人生は静かに、けれど確かに変わっていきます。
獣医としての知識を活かし、彼女は保護施設で働く人々とともに、動物たちの世話に没頭していきます。
アフリカの大地は、ただそこに存在するだけで人の心を深いところで揺らします。
草原に吹く風、力強く咲く花、そして何より、ゾウたちの静かなまなざし。
とくに子ゾウの姿には、ただ可愛いという以上のなにか――言葉にできない、あたたかさと穏やかさがありました。
ゾウたちは決して言葉を話しませんが、その仕草や目線のひとつひとつが、まるで「だいじょうぶ」と語りかけてくれるようでした。
ケイトが徐々に心を開いていったように、観ている私自身も、心が穏やかになり、少しずつ気持ちがほぐれていくのを感じました
とくに印象に残ったのは、離婚した元夫から「アフリカで誰かと出会ったの?」と問われたときのケイトの返答です。
「ええ、本当の自分に出会ったわ。」
穏やかだけれど、確信に満ちたこの言葉に、私は心の奥がふっとあたたかくなるのを感じました。
誰かの言葉や評価ではなく、自分の選んだ場所で、自分として立っていく。
それは、日々を生きる中で、私たちが何度でも立ち返りたい姿勢なのかもしれません。
映画からの気づきと、自分への問いかけ
この映画を観ながら何度も思ったのは、
「自分の人生を、自分の足で歩くって、どういうことなんだろう」ということでした。
誰かに認められたい。
誰かに支えられたい。
そう思うのは、人として自然なことです。
でも、誰かに選ばれることでしか、自分を肯定できないとしたら、それはとても苦しいことでもあります。
ケイトは、アフリカでの時間のなかで、少しずつ、でも確かに、自分を生き直していきます。
それは決して華やかな変化ではなく、
泥まみれになってゾウを看病したり、
現地のスタッフと地道な作業をしたり、
ただただ、目の前のことに大切に向き合っていくことを通して起きていく変化です。
「役に立ちたい」と思える場所に身を置くこと。
「誰かの期待」ではなく、「自分の実感」に従って選んだ行動を重ねていくこと。
そんな小さな積み重ねが、いつのまにか大きな自信になっていく――そんな風に感じました。
そしてそれは、私たち自身にも起こり得ることなのだと思います。
知らない土地に行くことも、いつもと違う景色に身を置くことも、時には、心をやさしく解いてくれるきっかけになりますね。
アフリカの大地と、静かに寄り添うゾウたちの存在は、そのことをそっと教えてくれたように思います。
まとめ

夏至という、光の節目を越えたこのタイミングで、この映画に出会えたことは、私にとってひとつの偶然であり、必然でもありました。
映画『ホリディ・イン・ザ・ワイルド』から受け取った、静かな気づき
- 人生の途中で「立ち止まる」ことは、時に前に進むための大切な時間になる
- 自然の中に身を置くことで、人は本来の自分に立ち返ることができる
- 誰かに選ばれなくても、わたし自身が「ここにいたい」と思える場所があれば、それでいい
- ゾウたちの静かな存在は、ことば以上に大きな癒しと安心をくれる
- 自分の過去の経験が、思いがけない形で“誰かの役に立つ”ことがある
もし今、「このままでいいのかな」とか、「立ち止まってしまっているな」と感じている人がいたら、
この映画は、きっとやさしく背中を押してくれると思います。
そして、問いかけてくるはずです。
――あなたは、どこで「本当の自分」と出会いたいですか?