
夢と聞いて、あなたはどんな光景を思い浮かべるでしょうか。
キラキラした舞台の上?
誰かに賞賛される瞬間?
それとも、自分の心が満ちていくような感覚でしょうか。
私にとっての夢は、長いあいだ「遠くのどこかにあるもの」でした。
手を伸ばしても届かないような、でも諦めきれないもの。
そんな夢に手を伸ばし続けることが、いつしか「わたし」という存在の軸になっていたのかもしれません。
けれど今、少しずつ見方が変わってきました。
夢とは、どこか遠くにある“正解”を探すことではなく、まだ言葉にならない“わたし自身”と出会い続ける旅だったのではないかと。
この記事では、そんな内なる旅の記録を、綴ってみたいと思います。
夢がわからなくなったとき、自分らしい道をもう一度見つめ直したいと思っている方に届けた出来たら幸いです。
かつての私自身がそうであったように、「夢とは何か」を静かに問い直したい方に向けて綴ります。
夢は、どこまでも遠かった

若いころ、夢とはいつも「どこか遠く」にあるものだと、そんな感覚をもっていました。
海の向こう、憧れの世界、まだ見ぬ誰かのように生きる未来。
目の前の現実とは違う場所にこそ、自分が目指す夢があると信じて疑いませんでした。
夢を語ることは、ある意味で「今のわたし」を否定することでもあったのかもしれません。
だからこそ、夢は美しくて、切なくて、そしてとても遠く感じられたのですね。
いつかそこへ辿り着くと信じて、たくさんのことに挑戦し、たくさんの扉を叩きました。
けれど──その道の果てに、本当にわたしの居場所があったのでしょうか。
すれ違ったのは、わたし自身だった
学生のころ、英語が好きだった私の夢は「通訳になること」でした。
世界のあちこちを飛び回り、ことばを通して人と人をつなぐ──そんな姿を思い描き、英語の勉強に夢中になっていた時期がありました。
けれど、現実はそう甘くはありませんでした。
学生時代、思うように成績が伸びず、試験に挫折し、次第に英語への情熱を失っていきました。
「好きだったこと」が「自信のなさ」へと変わるのは、こんなにも早いのかと痛感した瞬間でした。
そこから私は、「夢」を変えようとしました。
別の分野で熱中できることを探し、さまざまなことに取り組んできました。
どれも本当に好きなことでしたし、心から打ち込めるものでした。
けれど、心のどこかで「これは本当の望みではない」と感じていたのです。
ある時、夢を見失ったように感じた瞬間がありました。
頑張っても結果が出ない。
評価されるために動くほど、なぜか心が冷えていく。
評価されない自分になるのが恐くて頑張っているだけのような気がしてきました。
そんな日々のなかで、ある問いが胸をよぎりました。
「この夢は、ほんとうに“わたし”のものだったのだろうか?」
振り返れば、誰かに認められたい、期待に応えたい、そんな思いで追いかけ目指していたのは、“夢”ではなく“理想像”だったのかもしれません。
夢を手放すことは、挫折ではありませんでした。
それは、重ね着のようにまとう理想を脱ぎ捨てて、わたし自身と出会い直す行為だったのです。
この経験から、私は次のようなことを学びました:
- 他人の夢を生きようとすると、心がついてこないこと
- 自分とずれた目標は、努力するほど苦しくなること
- 本当の夢は、外側ではなく内側に静かに息づいているということ
蛹のような時間の中で

夢を見直す日々は、まるで蛹のような時間でした。
外からは変化が見えにくく、じっとしているように見えるかもしれません。
でも内側では、静かに、確かに、大きな変容が進んでいました。
わたしは「蝶になること」を夢見ていたのではなく、「自分の羽を知りたかった」のだと気づいたのです。
世の中の評価軸や成功モデルではなく、わたしの感性、わたしの呼吸、わたしだけの速度で生きること。その大切さを、蛹の時間が教えてくれました。
「胡蝶」に込めた、羽ばたきの祈り
わたしが立ち上げた会社の名前は「胡蝶」といいます。
蝶は、儚さと再生、軽やかさと変容の象徴。
地面を這う幼虫が、じっとした蛹を経て、ふいに羽ばたく蝶になるように。
人もまた、いくつものかたちを経て、自分だけの空へ飛び立つ存在なのだと信じています。
「胡蝶」という名前には、そんな変化の旅を讃えたいという気持ちを込めました。
この場所が、誰かの“夢の芽吹き”にそっと寄り添うような存在であれたら。
羽ばたく前の沈黙を、光として受けとめられるような空間であれたら。
そう願って、この場所をつくりました。
わたしの夢は、内側で静かに灯っている
今、夢はもう「どこか遠く」にあるものではありません。
わたしの夢は、毎日の選択のなかにあります。
誰かと出会い、言葉を紡ぎ、自然の呼吸に耳を澄ませる。そうした小さな営みのすべてが、わたしの夢のかけらです。
夢とは、ある地点に辿り着くことではなく、わたしがわたしであり続けること。
この「Butterfly Experience Gift」のなかで、そんな夢のかたちを綴っていけたらと思います。
あなたの内側にも、まだ見ぬ羽が眠っているかもしれません。
まとめ
夢をめぐる「わたし」という旅

今回は、「夢は、遠くではなく “内なる旅” だった」というテーマで、「わたしの夢」について
- かつて夢は「遠くにあるもの」だと信じていたこと
- 学生時代には「通訳」を目指して英語に熱中するも、挫折を経験し、自分の夢を見失ったこと
- 「理想像」を追うことで、本来の自分とすれ違っていたことに気づいたこと
- 蛹のように内省的な時間を経て、自分の本質や「羽」の存在に気づき始めたこと
- 「胡蝶」という会社を立ち上げ、変容の旅を肯定する場として位置づけたこと
- 今では夢は「外側の目的」ではなく「日々の選択と呼吸の中」にあると感じていること
などについて綴ってみました。
夢は、ゴールではなく、わたしがわたしらしく生きることそのもの。
変わり続ける自分を受け入れながら、今日も静かに、羽ばたく準備をしています。