
7月に入り、暑さとともに、なんだか心もせわしなくなってきました。
気温が高くなると、体力も集中力もいつもより消耗しやすくなります。
加えて、予定やタスク、SNSの通知、家事の細かな段取りまで……
気づけば、「あれもこれもやらなきゃ」と、
頭の中がいっぱいに。
でも、そんなときこそ、あえて“なにもしない時間”をつくってみるのはどうでしょう。
本日は、「ぼーっとすることは、マインドケアの第一歩」というテーマで綴っていきます。
なぜ「ぼーっとする」ことに罪悪感があるの?
私たちは、ついつい「がんばること」に価値を置きがちです。
何かを生み出す、誰かの役に立つ、効率的に過ごす……。
そんな風に毎日を過ごしていると、
「何もしていない時間」に、
どこか罪悪感を感じてしまうのかもしれません。
でも、実は“なにもしない”ことにも、ちゃんと意味があります。
とくに、脳と心の回復にとっては欠かせない時間なのです。
脳は「ぼーっとしているとき」に整理される
科学の分野では、「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という言葉があります。
これは、私たちが特に何もしていないとき――
たとえば、空を見ていたり、湯船につかっていたり、
ただただぼんやりしているときに活発に働く脳のネットワークのことです。
このDMNは、記憶や感情の整理をしたり、
自分自身をふり返る時間を与えてくれる大切な働きを担っています。
つまり、「ぼーっとしている」ときこそ、
脳が裏側でせっせと心のメンテナンスをしてくれている、
ということなのです。
忙しい日にもできる「ぼーっと時間」のつくり方

「そんな時間ないよ…」と思ってしまう方も、大丈夫です。
ここでは、ほんの数分でできる、ささやかな“ぼーっと習慣”をご紹介します。
① 窓の外を5分間ながめる
朝でも夜でもOK。
カーテンを少し開けて、空や木の葉、通る雲のかたちを眺めてみましょう。
視線を遠くにやることで、目も脳もいったんリセットされます。
頭の中の“おしゃべり”がすーっと静かになっていくのを感じるかもしれません。
② 炊飯器の音に耳をすませる
ごはんが炊けるまでの時間、スマホを置いて、
「ふつふつ」「かちっ」という小さな音に集中してみてください。
一見なんでもない音が、日常の中の“静けさの入口”になってくれることがあります。
③ 雲を眺める or 星を見上げる
空を見上げることには、心を落ち着かせる効果があります。
形が移り変わっていく雲、またはじっと輝く星。
そこには「考えないで眺める」という時間があります。
それだけで、自然と呼吸が深くなっていきます。
④ ろうそくの火やアロマを見つめる

炎のゆらぎには、人の脳波を落ち着かせる作用があると言われています。
キャンドルを灯して、ただ見つめる。
香りがあれば、なお心がゆるみやすくなります。
夜のリラックスタイムにおすすめの習慣です。
⑤ 遠くの音を探してみる
目を閉じて、少しだけ耳を澄ませてみてください。
近くの音ではなく、
「できるだけ遠くの音」に意識を向けるのがコツです。
電車の音、鳥の声、風の通る音。
遠くの音に意識を向けることで、思考がしずかに整っていきます。
ぼーっとする時間がもたらす3つの回復力
“なにもしない時間”には、さまざまな回復効果があります。
ここでは、その代表的な3つをご紹介します。
① 情報の整理とリセット
脳は常に情報を受け取り続けています。
ぼーっとしているときこそ、その情報が自然と“整理整頓”されるタイミング。
頭がスッキリし、「考えすぎていたな」と気づけることもありますよ。
② 感情のクールダウン
イライラや不安が続いているとき、
なにか「解決策」を探そうとして疲れてしまうことがあります。
でも、あえて何もしないことで、
気持ちがゆっくり冷めていくことも多いのです。
③ 自分との距離をとる
忙しいと、「本当はどう感じているか」に気づけなくなります。
ぼーっとすることで、自分の本音にふと気づけることも。
「そういえば、少しがんばりすぎていたかも」
そんな“気づき”が、次のやさしい一歩になります。
まとめ
本日は、『ぼーっとすることは、マインドケアの第一歩』というテーマで綴ってみました。
この記事のポイントをふり返ります:
- 7月は、心がせわしなくなりがちな季節
- 「ぼーっとする時間」は、脳と心の回復のために必要
- デフォルト・モード・ネットワークが、思考と感情を整えてくれる
- 忙しい日にもできる“ぼーっと時間”として:
- 窓の外を眺める
- 炊飯器の音に耳をすます
- 雲や星を見上げる
- ろうそくの火を見る
- 遠くの音を探す
- 「なにもしない」ことが、心の余白をつくるセルフケアになる
「がんばらないとダメだ」と思っていたあなたへ。
そのままでも、ちゃんと前に進んでいます。
だからときには、“何もしない”という選択を、
自分にプレゼントしてあげてくださいね