さみしさを「克服しよう」として、私は少しずつ鈍くなっていた

こころのこと

さみしさは、できれば感じたくない感情です。
だから私たちは、それを「乗り越えるもの」「克服するもの」にしようとします。

強くなればいい。
忙しくしていればいい。
誰かと一緒にいればいい。

私も、長いあいだそうやってやり過ごしてきました。

けれどあるとき、ふと気づいたのです。
さみしさを消そうとするたびに、何か別のものまで薄れていることに。

そのとき初めて、
私は立ち止まりました。

この記事では、さみしさを消そうとし続けた先で、私が失っていたものについて綴っていきます。

さみしさを敵にしていた頃

私は、さみしさを感じる自分を「弱い」と思っていました。

人に頼らないこと。
一人で立てること。
感情に振り回されないこと。

それが大人になることだと、本気で信じていたのです。

予定を詰め、必要とされる側に回り、
「ひとりでも大丈夫な人」であろうとする。

すると確かに、孤独は一時的に薄れます。
けれどそれは、満たされたからではありませんでした。

ただ、感じる時間がなくなっただけ。

部屋の明かりを消したあと、
スマートフォンの画面だけが静かに光る時間があります。

誰かとつながっているようで、
実はどこにも触れていない感覚。

通知が止まった瞬間、
胸の奥がふっと冷える。

あの感覚を、私は何度も知っていました。

それでも、「気のせいだ」と言い聞かせて、
また次の日の予定を詰め込んでいく。

さみしさを感じない自分のほうが、
強くて、価値があると思っていたのです。

本当は、誰に甘えたかったのか

最近になって、ひとつ気づいたことがあります。

私は、お母さんにもっと甘えたかったのかもしれない、ということです。

抱きしめてもらうこと。
「大丈夫だよ」と言ってもらうこと。
何もできなくても、そのまま受け止めてもらうこと。

末っ子で、何でも一人でできる子。
放っておいても心配いらない子。

そう見られていたし、自分でもそうあろうとしていました。

けれど本当は、
強くなる前に、安心して弱くなりたかったのだと思います。

抱きしめてもらいたかったというよりも、
「何もしなくても、ここにいていい」
確認したかったのかもしれません。

役に立たなくても。
強くなくても。
うまくできなくても。

それでも、いていい。

その感覚を、私はどこかでずっと求めていました。

さみしさを消そうとしていたのは、
その本音に触れたくなかったからかもしれません。

感じなければ、欲しがらなくて済む。
欲しがらなければ、傷つかなくて済む。

そうやって、自分を守っていたのだと思います。

鈍くなっていたのは「感受性」だった

さみしさを排除しようとするうちに、私は少しずつ鈍くなっていました。

深く喜ぶことも、
本気で傷つくことも、
どこか遠くなっていく。

安全ではあるけれど、どこか平坦な日々。

今思えば、さみしさを感じないようにすることは、
自分の感受性を削ることでもあったのだと思います。

さみしさは、
誰かとつながりたいという気持ちの裏側にあるもの。

それを消そうとすることは、
つながる力そのものを弱めてしまうのかもしれません。

今の私にできること

最近は、さみしさを感じたとき、すぐに追い払わないようにしています。

「またか」と切り捨てるのではなく、
「ここにいるんだね」と認める。

そして、ときどき胸に手を当てます。

あのとき抱きしめてもらいたかった自分を、
今の自分が、静かに抱きしめるように。

完璧にはできません。
さみしさが消えるわけでもありません。

それでも、誰かからもらえなかった安心を、
少しずつ自分に渡せるようになった気がしています。

さみしさは、克服するものではなく、
抱いたまま歩いていくものなのかもしれません。

そして、さみしさを感じられるうちは、
まだ誰かと深くつながれる可能性が、残っているのだと思います。

まとめ

本日は「さみしさを克服しようとして鈍くなっていた自分」というテーマで綴ってみました。

  • さみしさを消そうとするほど、感情が平坦になっていた
  • 本当は「甘えたい」という気持ちがあった
  • 「何もしなくてもいていい」という感覚を求めていた
  • さみしさは、つながりたい気持ちの裏側にある
  • 克服するよりも、認めることのほうが自然なのかもしれない

さみしさがあることは、弱さではありません。
それだけ、誰かとつながりたいと思える心があるということです。

今日もし、胸の奥が少し静かに痛むなら、
その感覚を否定せずに、そっと手を当ててみてください。

それだけで、十分なのだと思います。

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