あの日の選択が、いまの私をつくっている

振り返ると、「あのときの決断がなかったら、いまの私はいなかった」と思う瞬間があります。

当時は迷い、悩み、間違っているかもしれないと不安だった選択。
でも、あのとき選んだ“ひとつの道”が、少しずつ私を形づくってきたのだと、いまなら思えるのです。

あの頃は、未来なんて見えなくて、
ただ「今この瞬間をどう生きるか」で精一杯でした。
それでも一歩を踏み出したあの日が、
知らぬ間に現在の私の輪郭をつくってくれた――そんな気がします。

人は、過去をやり直すことはできないけれど、
“あのときの自分”を見つめ直すことで、いまを優しく受け止めることができます。

本日は「わたしのこと」として、
“あの日の選択が、いまの私をつくっている” というテーマで綴っていきます。

迷いの中でしか見えない道がある

人生の分かれ道に立つとき、人は「正しい選択をしなければ」と思い込みます。
でも実際には、選んでみなければ分からないことばかりです。

私にも、何度か大きな選択がありました。
仕事を辞めるか続けるか、人間関係を離れるかどうか、新しいことに挑戦するか。
どれも答えが見えず、心の中で何度も同じところを行ったり来たりしました。

それでも、不思議と「もう一歩進んでみよう」と思えた瞬間がありました。
たとえ怖くても、心の奥で“ほんの少しの確信”が光ったとき。
その小さな光に従って歩いた道が、いまの私へとつながっていました。

迷いの中にこそ、自分の本音が潜んでいる。
あのときの葛藤があったから、私は自分の心の声を聞くことを覚えたのだと思います。

あのときの選択を「失敗だった」と思った時期もありました。
努力が報われなかったり、思い通りにいかなかったり。
でも時間がたつうちに、少しずつその経験の意味が見えてくることがあります。

たとえば、傷ついた人間関係の経験があったからこそ、
いまは人と距離をとることの大切さを知りました。

思い切って仕事を変えたことで、
「自分の力で生きていく」ことの面白さを知りました。

あのとき苦しかった出来事は、
「こうなりたい」という未来を明確にしてくれる“きっかけ”だったのかもしれません。

人生の意味は、いつも“あとから”やってくる。
その視点で過去を見直すと、どんな経験もやわらかく受け止められるようになります。

もし過去の自分に会えるなら、
私はきっと、感謝の言葉をかけたいと思います。

「悩んでくれてありがとう」
「怖くても、選んでくれてありがとう」
「そのときの決断があったから、今の私がいるよ」

当時の私は、たくさんの不安を抱えながら、それでも動き出した。
あの一歩がなければ、出会わなかった人や、経験しなかった景色がいくつもあります。

あのときの“精一杯の自分”が、
今の“穏やかな私”をつくってくれたのだと、そう思うのです。

ときどき、「もし別の道を選んでいたら」と想像することがあります。
でも、それを考えるのは悪いことではありません。

選ばなかった道があるからこそ、今の道を大切にできる。
後悔ではなく、「もうひとつの可能性」として優しく眺めてみると、
人生そのものが少し広く感じられます。

選択とは、“捨てること”ではなく、“今を生きること”。
私たちは常に、何かを手放すことで、何かを掴んでいるのだと思います。

過去の選択が今をつくったように、今の選択が未来をつくります。
だから、変わることを恐れずにいたい。

あの頃と違う考え方をしてもいい。
かつて信じていたものを手放してもいい。

人は常に変化していくものです。
むしろ、変わらないことのほうが苦しくなるときもある。

選択とは、自分を新しくしていくプロセス。
何度でも、自分の人生を選び直していいのです。

これまでのすべての決断が、いまの私を形づくってきました。
失敗も、迷いも、後悔も、どれも大切な“通過点”。

どんなに小さな選択でも、それを重ねていくうちに、
自分だけの道が静かにできあがっていくのだと思います。

そして、これからの人生でもまた、
迷うことがあっても、その迷いごと自分を信じて進んでいけたら――
きっと、また新しい“私”に出会える気がします。

そしてもう一つ気づいたのは、
「選択」はいつも“完璧な答え”を求めなくてもいいということです。
どんな決断も、その瞬間の自分にできる最善であり、
その経験を通して、次に進む力が自然と育っていくのだと思います。

失敗しても、遠回りしても、
その道を選んだ自分を肯定できたら、それが一番の成長です。

人生は、選択の連続です。
そして、そのひとつひとつが、かけがえのない自分の物語になります。

本日は「あの日の選択が、いまの私をつくっている」というテーマで綴ってみました。

過去を責めるより、
「よく頑張ったね」と笑える今を大切にしたい。
そして、これからも新しい選択をしながら、少しずつ“今の私”を更新していきたいと思います。